始業前、作業終了後の掃除を労働時間に含めない会社があります。これを当たり前だと思ってはいけません。
ブラック企業と断定できる要因はいくつかありますが、この「掃除時間の扱い」でも判断できます。
ブラック企業研究家、Blahara運営者の『Ryo』です。
なぜ掃除時間を労働時間にしないとブラック企業になるのか。その理由を3点お話します。
掃除時間は作業に含むもの
仕事時間は会社ごとに決められています。8:30~なら、8:29まではデスクに座ってボーっとしていても叱られる理由はありません。
しかし、日本の仕事意識として、仕事場に到着した時から労働開始になってしまっています。
仕事意識が行き過ぎてしまった場合に始業前の掃除・作業終了後の掃除が労働時間に含まれなくなります。
工場内の仕事時間とタイムカード
工場では普段着から作業着に着替えないといけません。着替え時間は労働時間に含みます。
着替え時間を労働時間に含まないのなら、クリーンルームに入室する際の二次更衣も労働時間に含まないことになります。そのため、タイムカードも会社の入口や一次更衣室の前に設置されています。
タイムカードが会社の入口に設置されている以上、掃除も必ず労働時間に含まれるようになります。
掃除をする為にタイムカードを押さずに出社し、特定の時間に押すのは変だと思いませんか?社員が一斉にタイムカードを押すので、ちょっとした渋滞になります。こんな風景を普通の会社で見ることはありません。
そのため、始業前の掃除・作業終了後の掃除がサービス残業になるのは異常です。
TIPS:
タイムカードが30分刻みの場合、8:30出社で8:15分に到着することがあるでしょう。この15分で清掃・簡単な掃除を勧められるのは仕方ない部分もあります。しかし、強制ではありません。8:00前に出社し、掃除を強要される場合は非常識な会社と言えます。
清掃に関する意識が低い
掃除は重要な仕事の1つです。
なぜなら、
- 製造業の場合、異物混入につながる
- 会社の印象が変わる
- 防虫対策になる
のように、売り上げや利益に直結するからです。小売店や製造業の場合は客への印象が変わります。不潔な工場・販売店では人が寄り付きません。
掃除が労働時間に含まれない場合、社員のモチベーションが上がりません。会社も掃除を仕事と見なしていないので、掃除道具の改善や掃除方法・掃除の頻度に関して真剣に考えません。
掃除の意識が高い会社とは
逆に掃除の意識が高い会社がどのようなことをするのか見てみましょう。
- 専門業者に委託する
- 掃除専門の社員が居る
- 最新の掃除家電を取り入れる
- 一斉掃除の時間・一斉掃除の日がある
防虫委員会の設置や掃除の予算が与えられます。
徐々にサービス残業が増えていく可能性が高い
先ほど、掃除を労働時間に含まないのは「行き過ぎた仕事意識が原因」と言いました。
仕事意識がずれて高まっているため、掃除以外のサービス残業を与えられる恐れがあります。
- 仕事の持ち帰りの推奨
- タイムカードの廃止
に始まり、
- 小物備品の自己負担
- 掃除ができていない場合の罰金、賞与減額制度
になるケースもあります。
特に小物備品の自己負担は危険です。掃除道具や消耗品を自分で買ってくることになります。これも会社側が「このくらいのレベルは社員が自分で取り組むべき」と考えることが原因です。
極端な実例
以下、私が体験した実例です。当時は結婚式場の写真館に勤めていました。
写真館のオープンは10:00~19:00。規定の仕事時間は9:00~19:00。
- 6:30に出社。1時間植物の水やり。8:30まで掃除。
- 8:30~10:00までオープン準備+フォトブックの作成
- 10:00~19:00は写真館としての仕事。
- 19:00~フォトブックの作成、写真加工。最大で24:00まで
これが「当たり前」になっていました。
まとめ
掃除は時間とコストがかかります。真剣に掃除に取り組むと、現状の社員だけでは仕事が回らなくなる恐れがあるでしょう。残業になる可能性もあります。
しかし、それが普通なのです。
たかが掃除と思わず、あなたの会社が掃除に対してどのような意識を持っているのか見てみましょう。掃除を疎かにする会社はいつかツケが回ってきます。
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